2004年エコライフカレンダー活動のまとめ
(とよなか市民環境会議アジェンダ21・生活部会)


T.2004年エコライフカレンターモニターの集計


───【目的】───

地球温暖化の原因は、大気中の二酸化炭素の”温室効果作用”によって起こることが知られております。
従いまして、大気中に二酸化炭素を排出すればそれだけ、”温室効果”が強くなり、大気の気温は上昇します。
その状態を放置すれば、やがては、南極大陸やグリーンランドetc.の氷床が融けて海面の水位が上昇します。
そうなれば、海抜の低地帯はもちろんのこと、世界の海洋の島々は水没してしまうと言われております。
そこで注目すべきは、その二酸化炭素の排出が人為的に行われていることです。
つまり、私たちは高度な文明社会の下で快適な生活を享受しておりますが、その中で必然的に二酸化炭素の排出を招いているのです。
では、この社会形態の下で二酸化炭素の排出を減らせないか?
それは、私たちが日常生活において、”エネルギーの節減”に努めればかなりの二酸化炭素の排出を防ぐことが出来ます。
生活部会の活動の原点は、いかに多くの市民に”エネルギーの節減”の必要性を訴え、省エネ活動の協力を呼びかける”草の根の活動”です。

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───【はじめに】───

2004年エコライフカレンダー(豊中市民版環境家計簿)のモニタ−について、集計結果をお届けします。
今回の集計にあたって強調しておきたいことは次の3点です。
                                                                                                            @.モニターの数が大きく増えました。
  この1年間の活動でも、モニタ−の仲間の数は着実に増えています。
一昨年来モニター数が100人を超えたと喜んでいましたが、2004年の集計ではほぼ3割強の増加です。
このようにモニターを増やすことができたのは、豊中市広報にも取り上けられ、またケ−ブルテレビにも出てPRに努めたことが、 ひとつの要因だと思います。
このように宣伝の規模が大きくなり、だれにでもできる地球環境問題の取り組みとして、 市民の中で営々と続けられてきた運動が少しずつ知られるようになったのでしょう。
広報に記事が掲載されたときには、’34人の市民からエコライフカレンダーを見たいと問い合わせもあり、 しばらくはカレンダーの発送に追われたりしました。
だが、そんなきっかけだけでなく、モニターの皆さんのロコミによるお誘いが、何よりもカを発揮し、 着実に仲間が増えていったと考えます。


A..集計の方法を少し変えました。
今年1月からのエコライフカレンダーでも気づかれたと思いますが、 従来は「車なし世帯」「車あり世帯」とに分けて集計していました。
それをすこし変更し、まず電気・ガス・水道についてモニター全員の二酸化炭素排出量の集計をおこない、 そこへガソリンの二酸化炭素排出量の数字を加えました。
これは、ガソリンの使用に関わる二酸化炭素排出量が比較的大きいので、そのため日々の生活の中で、電気・ガス・水道の省エネを こまめに努力してもそれを数値に表れにくかったので、ガソリンを除いた小計をだし、 ガソリン以外の日常的な部分で比較しやすいように試みたものです。


B.電気の排出係数の変更
まとめでは、皆様から頂いた2004年のデータの電気の使用による二酸化炭素排出について、 排出係数をkwhあたり0.36(旧は0.26)に改めて計算しました。
この電気の係数の変更こついては、できるだけ環境家計簿をつけている全国の運動と共通するものにして、 比較しやすいようにしたいという考えからです。


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───【1. モニター数とその全体像 】───

1)モニターの増加 (表1)
2004年のモニター数は161人(前年は118人)でした。
1年間継続してデータを提出していただいた人は139人(前年は94入〉です。
2〉全体像
(1)2004年のモニターは、家族構成で2人世帯の数が大きく増え、1人世帯の数が減りました。 比率でその差が大きくでています。
3人世帯、4人世帯、5人以上の世帯の比率ではそれほど大きな違いはありませんでした。(表1)
また、表1では2000年国勢調査における豊中市の家族構成比率と比較できるようにしていますが、比べてみるなら国勢調査では1人世帯の比率が大きく、 実勢に比べてモニターの比率は40%弱であり、2人世帯の比率は67%も大きくなっています。
この差はどのように影響するかですが、1人世帯は比較的エネルギー消費が大きく、家族構成が2人以上になるとエネルギー消費が比較的少なくなるのではないかと思います。
(2) 車所有世帯の比率は、149世帯(モニター数161人との差は1年の中で途中から提出者も含まれるため)のうち80世帯で54%、前年の集計では48%でしたから少し増加していますが、 前年が少なくさらにもう1年前が57%でしたから、それほど多いわけではありません。
───【2. データの集計 】───

1)電気・ガス・水道こよる二酸化炭素排出量
モニタ―1世帯あたりの1年間の電気・ガス・水道による二酸化炭素排出量を前年の数値と比較してみました。(表4、5ページ)
2004年の1世帯あたり平均二酸化炭素排出量は3504kgでした。これまでと比較すると、
2003年の1世帯あたり平均二酸化炭素排出量は3312kg、
2002年の1世帯あたり平均二酸化炭素排出量は3708kg、となっています。
前年から5.8%増えていますが、もう1年まえよりは5.5%減っています。
この変化は、図3で見ると一目瞭然です。2003年のモニター集計には「2003年夏は比較的涼しかった」と言う記述がありましたが、 そんなことが数値にあらわれたのでしょうか。

2)ガソリンによる二酸化炭素排出量
図3では、ガソリンによる二酸化炭素排出量も2003年が比較的少なく表れていますが、 それ以外の3者合計(電気・ガス・水道)よりは、折れ線グラフのへっこみの小さいのにほっとさせられます。
ガソリンによる二酸化炭素排出量が占める比率は25%(図6)で、前年も25%でしたからほぼ横ばいだったといえます。
この数値は車あり世帯が前年より増ていた(全体像に記述)にもかかわらずにこの結果です。
マイカーがあっても日常の使用が控えていたからなのでしょうか。

3)1人あたりの二酸化炭素排出量をみる。
全モニターの排出量合計を延人数で割って、1人当たりの年間二酸化炭素排出量を比較してみると興味深い数値がえられました。
(表5、図4、)
2002年 1人当たり二酸化炭素排出量1209kg
2003年     〃        1257kg
2004年     〃        1315kgと増加傾向をたどっています。
家族単位では減少傾向であるのに、1人当たりで見ると違った傾向がみられます。
対前年比でガソリンの排出量の増加率が大きいのは、車ありの世帯数が増えていることに要因があるのでしょうか。
前年に比べ26kgの増はガソリン換算約11リットル(年間約110kmの走行)にあたります。

4)その他、図5と図6は二酸化炭素排出量の比率を示した円グラフです。参考にしてください。

───【3.資料 】───

表1 世帯構成別モニター数と豊中市の現勢

2004年2003年>2000年国勢調査
世帯構成車あり車なし 計  比率(%) 計  率(%)比率(%)
1人115161120174685130
2人3433674547404333627
3人21291919163117420
4人1510251720172770817
5人以上93128121096226
合計8069149100118 100158691100

表2 モニターのマイカー所有者の推移

車あり車なし合計
世帯数 割合(%)世帯数 割合(%)世帯数 割合(%)
2001年4551424987100
2002年62574743109100
2003年57486152118100
2004年80546946149100

(注 1)5人以上の世帯では6人家族が1世帯あり、残りはすべて5人でした。
(注 2)モニタ−数と表のモニター世帯数(149世帯)の差は1年の中で途中からの提出者も含まれるためで、データとしては 平均値になりました。

表3 2004年1世帯当たりの平均二酸化炭素排出量 C O 2 換算:Kg

1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月合計
電気180156130127103 911321601301091001151533
ガス14313312210371 54413537466386934
水道1412121112 12121213121211145
小計337301264241186157185207180167175 2122612
ガソリン5962716975 80798971738084892
合計396363335310261237264296251240255 2963504

表4 各年毎の1世帯当たりの平均二酸化炭素排出量 C O 2 換算:Kg

項 目2002年2003年2004年
電気・ガス・水道277524982612
ガソリン933814892
合 計370833123504

図1

図2

図3

図4

図5図6

U.モニターのGO2排出量(電気・ガス・水道)の分布 

データを自己珍断するために自分の努力がどのようなランクに入っているかを知るために、モニターさんの2004年5月 の各世帯の排出二酸化炭素のデータ(電気・ガス・水道のみ)を使って、2人、3人、4人世帯のグループ内がどんな分布で散らばっているか 平均値の両側に7分割でランク付けをしました。
ランクの呼び名には7つの虹色になぞらえて仮に命名してあり、緑のランクの中心を平均値に置いて、 二酸化炭素排出量の多い(地球温暖化に向う)側に順に黄、橙、赤(最多)ランクとし、二酸化炭素排出の少ない(地球温暖化の防止に向う)側に青、整、紫(最小)のランクを設けました。
各ランクの範囲(幅)は、値をいくらからいくらまでにするか、またその各ランクに属する世帯が何世帯あるかを示しています。
皆さんの実績がどのランクにはいるかなどもよく分かり、従前では平均値とか平均より多いか少ないかしか分からなかったので有効なモニター情報となるのではと思います。
実は月ごとの数値は、検針日の変動にも影響され、予想に反する数値が出ることもあるので、今後さらに検討し次には月別の分布に代えて季節ごとの図を出すことも考えております。

* 表の見方:例えば、あなたが2人家族で5月の排出量が170kgとします。
すると163kg〜181kgの範囲に入るモニターさんは15人で黄色のランプであることが分かります。

* 表の見方:例えば、あなたが3人家族で5月の排出量が200kgとします。
すると187kg〜223kgの範囲に入るモニターさんは6人で緑色のランプであることが分かります。

* 表の見方:例えば、あなたが4人家族で5月の排出量が260kgとします。
すると220kg〜272kgの範囲に入るモニターさんは7人で緑色のランプであることが分かります。

V.事例研究
1.OMさん  4人家族 車なし 1戸建 モニター歴4年目

電気
子どもたちにも電気はこまめに消すように前から言っており、夜中に一人で起きていると きなどは、大きい電気は消して、小さいものだけにするなどしていてくれているとのこと。

ガス
お風呂もできるだけ連続して入るように言うものの時間帯も違うので、せめてシャワーの 流し放しはしないように言って協力してもらっている。
台所ではなど炊いた後、早めにガスを消して新聞紙でくるむなど工夫している。

水道
水道代が2ヵ月で20000円を超えることもあり、それが最大の悩み。定年後の主人の楽しみとして、 畑が3畝あるのとペットの犬の世話や小鳥が12羽、その他魚の水槽があることを考えると無理からぬことと思える。

感想
子どもたちにも協力してもらっているので、検針表が来たときなど「お陰でこれだげ節約できたワ」と感謝の気持ちで、 たまにはケーキなどご馳走しているとのこと、なんともほほえましいご家庭と見受けられる。
エコカレンダーを付けはじめたおかげで、知らなければもっと増えていただろう光熱費が抑えられていると思う。
主人に台所の後片づけなどを頼むこともあり、あまり強く節約を強いられないが、これからも協力してもらってやって行こうと思う。

0・Mさんの2004年の実績

電気ガス水道ガソリン
1月5527539.5382.9
2月42110439.5398.1
3月3709075370.2
4月5617375402.4
5月2915239.5239.5
6月2114239.5189.2
7月2632651.5149.2
8月4532651.5203.8
9月2932747190.8
10月2804347220.5
11月2934340.5221.4
12月5076240.5339.3
4495663586.03307.1
電気・ガス・水道は使用量の数値です。






4人家族”車ナシ”世帯平均の年間C O 2排出量  換算:Kg
2002年2003年2004年
電気334417841618
ガス136716171425
水道331312340
504237133384

V.事例研究
2.K.Mさん 2人家族 車あり 1戸建 モニター歴6年

電気
結婚して45年になるが、電化製品は徐々に増えてきている。
例えば冷蔵庫2台、クーラ4台など。その他たいがいのものはある。
休日が続くときは長男が家族連れで1週間ぐらい遊びにくる。したがって1、5、8月は電気の使用量が多くなる。
若い人はごみ分別には協力的だが、省エネに関しては無関心のようで歯がゆさを感じている。

ガス
2003年は灯油の方がCO2排出量が多いので、灯油からガスストプに変えた。
そのためガスの使用量が多くなっている。
2004年11・12月は暖冬だったのであまり暖房を使用しなかつた。
ガスストープを使っていると検針票ですぐ数字に現れるので、ぴっくりしている。
いつもお風呂には給湯器から湯を直接入れて、追い炊きをあまりしないよう、2人続けて入るようにしている。

ガソリン
月に1〜2回ドライブに行くが、最近は本格的なドライブも体力的にきついので、長距離が減っている。
以前は広島の次男のところへ車で行っていたが、この頃は路線長距離バスや新幹線を利用するようになった。

ごみ
野菜などまとめて下ごしらえしたりして、極力無駄にしないように心掛けている。下ゆでの湯なども洗いものに使ったりしている。
日々のお総菜も残りものプラス1品というライフスタイルが今では定着している。
グラフに見るとおり、ガス、ガソリンで一昨年、昨年の差の大きいのに感心させられた。

KMさんの年間C O 2排出量  換算:Kg
2002年2003年2004年
電気1370.881397.881340.28
ガス608.45930.95589.10
水道120.06120.06116.00
ガソリン808.50600.60508.20
2907.893049.492553.58

2人家族”車アリ”世帯平均の年間C O 2排出量  換算:Kg
2002年2003年2004年
電気127311441113
ガス800767660
水道119105107
ガソリン129614271394
348834433274

V.事例研究
3.H.Mさん 2人家族 車あり 1戸建 モニター歴4年

2004年12月にテレビを省エネタイブに買い換え、また大きさもこれまでの29インチから21インチにサイズダウン。
モニターになって知識も得たから出来た。もしエコライフカレンダーのモニターになっていなかったら前のままに 29インチを買っていただろうと思う。

新しいテレビは買ってまだ期間があまり経っていないため、電気の使用量の変化はわからない。
また私の家は冬場が特に寒い地域なので、暖房の使用量が多い。
05年の春から秋にかけてどう数値が動くか楽しみ。「結果はモニターはがきに書きます」とのこと。

冷蔵庫も新しい省エネタイブに買い換えたい。しかし現状では小型・中型のエコタイプは販売していない。
これからますます少人数の家庭が増えると思われるので、メーカーは大型だけでなく、 ぜひとも小型や中型の省エネタイブのものを出して欲しいとのことでした。

H.M さんの電気使用量
1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月合計
電気294229268309208 1591801711701731652152541

V.事例研究
4.M.Y さん 2人家族 車あり 1戸建 モニター歴1年

10数年前、ソーラーシステムを導入、炊事と風呂の湯に利用している。
調理は電磁調理器を使用している。

夏場
ソーラーシステムのおかげで夏場は2回湯を溜めて利用している。
1回160〜180リットル×2回で湯を沸かさなくても十分利用できる。
従ってガス代は基本料金でよい(約半年間、料金732円)

冬場
灯油で風呂の追い炊きをしている。灯油のCO2排出量が多いのと、灯油のボイラーの音が大きいのが気になる。
なるべく2人一緒に入りCO2の排出量を減らす工夫をしている。
冬場のガス代はソーラーシステムを導入するまでは1万円位高かった。
エアコンを昨年の冬頃、省エネタイプに買い換えたが、暖冬だったので、あまり使わなかった。

M.Yさんのガス・電気の使用量
1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月合計
ガス使用量12331114111420000097
ガスのCO2の排出量25.871.023.730.123.730.14.300000208.6
電気使用量4854363473272772222512692702563193193778
単位:ガスm3 CO2:kg  電気:kwh

(作成:猪尾 英雄)


───Y.【希望される方には差し上げます】───

 この取り組みについて詳しくは、
『2004年エコライフカレンダーの取り組み(2005年5月発行)』に載せております。

その報告書をご希望の方は下記にご連絡下さい。
連絡先:  とよなか市民環境会議アジェンダ21 生活部会
〒561―0804 豊中市曽根南町1−4−3 環境情報サロン内  大村 靖子 宛
TEL 06―6863―8792  FAX 06―6863―8734

以上

(部会長:宮田 健)