生活部会:くらしかん研究発表 その1
エコライフカレンダー運動に関連して

3月27日午後に行われるくらしかんの研究発表会に向けて、生活部会としては今年も2件の研究報告を作成し発表することにしています。
1つは「再生可能エネルギー、特に太陽光発電の現状と問題点」
もう1つは「エネルギー、特に電気の価格の仕組みと現状」の2件です。
とりあえず今号では、最も時代の関心事である太陽光発電に関する報告について、ごく限られた部分だけですが中味をのぞいてみることにします。

太陽光発電の現状と問題
再生可能エネルギーの普及がなかなか進まない理由にコストが高いといいう現状があります。
出所:コスト等検証委員会の資料による

 
 しかし一方では太陽の日照条件がよいのに太陽光発電の普及はまだまだ十分とはいえません。世界各国の再生可能エネルギーの導入状況は下記の図に見る通りで、 大型ダムによる水力発電を除くと再生エネルギーの比率は1.6%でしかありません。


 
 再生可能エネルギーは、太陽光だけでなく他にもいろいろあります。東北・北海道を中心にした地域では風力に恵まれていますし、火山国でもある日本では地熱資源量でも世界で3番目に恵まれています。 電源コストの試算がありますが、むしろ太陽光よりも安価で発電できるのです。
 世界各国は固定価格買取制度(FIT)と、再生可能エネルギー電気の一定量の調達を電力会社に義務付けるRPS(価格は固定しない)などの導入を促進しています。
 ドイツは 2000年より、FITによる支援を実施し、再生可能エネルギーの比率を早くも6.2%に引き上げ、2010年には14.7%に達しています。
 スペインは 1994年からFITによる支援を実施。再生可能エネルギーの比率を16.2%に引き上げ、その後18.5%まで増加。2011年からは送電会社の赤字が累積したため若干後退しているようです。
 イギリスは 2002年からRPSを、2010年からは小規模発電にFITも併用しています。
 アメリカは ワシントンDCを中心に東北部30州でRPSを採用し始め、その他にもカリフォルニアなど5州でFITを採用しています。
 日本では再生可能エネルギー(水力発電を除く)が総発電量の中に占める割合は1%前後で推移してきました。2009年11月に余剰電力買取制度を開始、2012年7月の固定価格買取制度(FIT)施行により、 太陽光発電を中心に再生可能エネルギーの割合は1.6%まで上がりました。
太陽光発電の導入累積は2012年度末で約729万キロワット。内訳は住宅が8割、非住宅が2割程度で住宅用が主役です。2012年に固定価格買取が制度化され。メガソーラーなどの急拡張が見込まれているのが現状です。

 

生活部会(奥野 享)